もう最近は、原発事故がらみの記事ばかりになっていまして

( 自己啓発から逸脱してまして )すみません。



 戦後最大の国難、、というのは、本当にそのとおりだと思ってまして、今回、また福島第一原発の事故についてちょっと角度を変えた記事を書いてみようと思います。



と申しますのも


この記事をご覧のあなたもご存知のとおり
 

 経済産業省原子力安全・保安院は、12日に福島第一原発の事故が(INES)の基準に照らして( 英語の原典はこちらのP28にレベル7の定義が書かれていますが )

 放射性物質の外部環境への漏洩量等から勘案して

 暫定評価でレベル5としていた評価から「 深刻な事故 」とされるレベル7に引き上げたことを発表しました。

 これについては、2回の水素爆発やその他の要因で漏洩した後のデータから、それぞれの施設の合算の放出量は、大まかに推定できたのではないか?という素人考えがあるため
 ( 可能なら、放出量がある程度概算できた時点で )もっと早くに引き上げるべきだったのではないか?最低でも3月下旬には引き上げて、高いリスクが予想される地域の方に注意を喚起したほうがよかったのではないか?というのが、正直な本音ですが、、レベル7となると国際的にも大きなインパクトを与えることから試算には慎重に慎重を期した、、ということなのでしょうか?


  



 レベル7の発表だけでも、大きなインパクトがありますが


  
 福島第一原発の放射能漏れ事故が

 原発事故史上最悪( 事故対応も最悪 )とされているチェルノブイリ原発事故と引き合いに出されて比較して、報道等でも論じられるようにさえなっています。

本音を言いますと、、

 チェルノブイリの原発事故と比較されるというのは、眩暈がすると言いますか・・
 この事故は、一説に因ると

 広島型原爆の500発分の放射性物質が撒き散らされたとされていますので・・。


  で



 私が気になって自分なりに調査したほうがよいと思ったことは

 今回の福島第一原発の事故をチェルノブイリの事故で放出された放射性物質の量と比べた日本政府の公式発表( 試算 )が

 他の国の試算( 報告書 )と比べて本当に整合性がとれているのか?

 チェルノブイリ原発事故( 旧ソ連政府 )のときのように完全隠蔽して、他の国の指摘で発覚するというようなことは勿論ないにしろ(汗


 今回の事故を故意に小さく見せようとしていないのか?正確に情報分析して提供に努めているのかを調べたほうがよいと思いましたので


 
 各国で試算されている報告を自分なりにあれこれ調べた結果をあれこれ書いてみようと思います。

  
 日本政府がレベル7にした件についての公式見解やチェルノブイリとの比較をした報告書につきましては以下のサイトから確認できます。




 http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110412001/20110412001-1.pdf

 上記の経済産業省 原子力安全・保安院の報告書をご覧になればわかるように

 チェルノブイリ事故の1割前後の漏洩という試算を出しています。
 
この件( チェルノブイリ事故との比較 )につきましては


 福島原発の事故をチェルノブイリの放射性物質の放出量と比較している他の国の報告書がありますので 

出来るだけソース( 原典 )に近いものを2つ( 3つ )ほどピックアップしてみます。


まず

 福島原発の放射能漏れ事故をチェルノブイリの原発事故と比べて
日本政府より高く見積もっているのは
Fukushima radioactive fallout nears Chernobyl levels という科学誌で試算が出されてまして

 オーストリアの研究機関で調べた結果を元に報告したものがありました。

 その報告書によると

 福島原発が放出したヨウ素131は、チェルノブイリ原発事故の73%

 セシウム137は、チェルノブイリ原発事故で放出された総量の60%まで達しているという試算を出しています。

この試算の原典は

 オーストリアの研究機関と言ったら( ZAMG )というところだと思い

 ZAMGという研究機関の出典元を探してみましたら

http://www.zamg.ac.at/aktuell/index.php?seite=3&artikel=ZAMG_2011-03-23GMT10:57


 上記サイトを発見し

 よく見ると

( 以下引用 )
 
Bei der Reaktorkatastrophe von Chernobyl war der
gesamte Quellterm von Iod-131 1.76 10 18 Bq, der von Casium-137 8.5
10 16Bq. Die fur Fukuschima abgeschatzten Quellterme sind damit bei 20% des
Chernobyl-Terms fur Jod, und 20-60% des Chernobyl-Terms fur Casium.

( ここまで )
 
という記述があり

福島原発が放出したヨウ素131は
チェルノブイリ原発の20%、セシウム137は20-60%という試算を出していました。

Googleで翻訳したので、どの期間のどの時点における試算かもあまり正確ではないかもしれませんが、

New Scientist誌は、ZAMGからのデータを元に試算したのではないかと思っていますが、

オーストリアのZAMGも日本の発表よりも高めの試算をしています。


 その一方で

フランスの放射線防御原子力安全研究所(IRSN)の報告によると

福島原発の事故で漏えいした放射性物質の量はチェルノブイリ事故の約10%という見解を出していまして、日本政府の公式見解とほぼ同じ試算をしていました。

「 IRSN による3 月22 日迄に福島第一原子力発電所から放出された放射能の見積もり評価発表 」

http://www.irsn.fr/EN/news/Documents/IRSN_fukushima-radioactivity-released-assessment-JP.pdf

ETSON ( 欧州安全組織機構 )加盟機関、及び US/NRC( 米原子力安全機関 ) やSTUK( フィンランド原子力安全機関 )と意見交換もして日本国内で測定された放射能との比較から裏づけもとった報告のようで、日本政府の発表は、フランスやアメリカの報告( 見解 )とほぼ同じ見解ということのようです。

 フランスのIRSNは、以下の報告書( フランス語ですが )のように
 6Pのところで福島原発の年間の放射線の蓄積量を推定した図表を公表したり、日本に在住しているフランス人に向けて、精力的に情報提供に努めているようでして、

 ( フランス語、読解できないですので、Google翻訳等で翻訳変換して内容のアウトラインを見る限りでは )
 日本に在住しているフランス人の方に向けて日常生活の中で室内を放射性物質で汚さない簡単な方法を含めた細かい対策も盛り込みつつ(P5) 的確に分析しているように思いました。

 http://www.irsn.fr/FR/Actualites_presse/Actualites/Documents/IRSN_Residents-Japon_Bulletin2_08042011.pdf
 
 海外の報告書を比較してみると、

 日本政府は、フランスのIRSNの報告書と同程度の試算をしているようでして、
 ( 当方が探した範囲では )日本政府の公式発表よりも低い見積もりをしている国の報告を見つけることが出来ませんでしたので
 
 解析データが限られている、、
 限られたデータで見積もっているオーストリアのZAMGの予想漏洩量( ヨウ素131が、チェルノブイリ原発の20%、セシウム137は20-60% )ほどは、多くないのかもしれませんが

 ( いろんな国の報告書を比較してみると )



 実際には、チェルノブイリ原発事故で漏洩した量の1割程度よりも、ひょっとしたら、もっと漏洩している可能性もあると思いました。
( フランスのIRSNの報告と同じ試算の日本政府の報告を信頼したいですが・・・ )




 いずれにしろ

 ( 前述しましたように )福島原発の事故は、放射性物質の放出量という点でチェルノブイリの原発事故と比較されるほど深刻というのは間違いない( 1割の漏洩としても広島型原発の50発分に該当する )ようですし

 出来れば、現時点で
 どの号機からどれくらい漏洩したのか?その割合や漏洩が予想される核種、
 2回の爆発や諸々のトラブルで生じた、それぞれの事象や諸々のトラブルで漏洩し拡散した事象が、爆発等で上空に放出された際の拡散速度とかで放出された核種や核種ごとの放出量、影響範囲も違うでしょうし

 それぞれの号機のいろんなトラブルにより生じた事象が、どう周辺環境に影響しているのか?その詳細( レベル7にした各号機の個別の内訳の放出量や漏洩した核種の詳細 )も知りたいところです。
  

チェルノブイリ事故のときは対応が遅れて
  チェルノブイリ原発があったところ( チェルノブイリ )とは距離的にかなり離れた地域のベラルーシのゴメリ州( テニスのマリア・シャラポア選手のご両親の故郷ということで有名なところ 英語記事 ソース )

 この地域で汚染された食品を知らずに食べ続けて生活することで、数年の潜伏期間を経て、子供たちの甲状腺がん等の罹患率が、どんどん増加したという京都大学の痛ましい報告もあるようですので
 チェルノブイリ事故が起こったときのベラルーシの土壌や大気の汚染マップと今回の事故の比較分析を早急にして重ね合わせつつ、
 ( ゴメリ州の事故当時のデータを分析することで )
 今回の事故で、ベラルーシのような事態を回避するためにとらなければならない措置が生じる可能性があるのかもしれません。

 私が調べた範囲では、ベラルーシのゴメリ州は、土壌汚染やら食品汚染がひどかったのに、そこで生活している住民( 家族 )は、3年以上放置されて普通に生活していたそうですので。


 
 
 
 一国民として気になったので
 チェルノブイリ関係のいろんな報告書のうち、甲状腺がんやらの罹患率が年々増加したとされるゴメリ州の事故当時の大気や土壌の放射線による汚染のデータやら当時のことをインターネットを使って、研究報告書を探し回ったところ


 とにかく、以下のレポートのように、いろんな立場の方から、いろんな報告が出されてはいるようです。

 チェルノブイリ原発事故の調査を通じて学んだこと
               ( 今中哲二氏 )

 http://home.hiroshima-u.ac.jp/heiwa/Pub/41/41-imanaka.pdf
 

チェルノブイリ事故の健康影響に関する報告書について
  ( 財団法人 電力中央研究所 
        原子力技術研究所 放射線安全研究センター )

http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/study/topics/20060904.html

 
ですが、時間も限られていまして今のところビンゴの文献を探せていません。力及ばず、、です。
( 4月12日時点で )



 


 いずれにしろ


 チェルノブイリと福島を結び付けて欲しくないと思いました。

 チェルノブイリと言ったら連想されるのは、廃墟と破滅しか浮かばないですから。(汗

 福島が、そうあってはならないと思っていますし、そうならないためにチェルノブイリの事故を教訓として、どうしたらよいのかについて、もっと議論が盛り上がってもよいのにな、、と思っています。
( 今はそれどころじゃないのかもしれませんが )

  チェルノブイリ事故は旧ソ連政府の時代に起こった事故で

 事故対応も最悪で、

 原子力事故-wikiやらその他の文献を見ると

 原発施設及びその周辺の高レベルの放射性物質が付着した瓦礫を片付けたり解体作業をする際に

 この動画にもあるように労働者の方々の防護措置( 放射線の被爆管理 )も杜撰で、余りにも非人道的なことをして、ほとんど無防備の状態で片付けさせて、

  多くの労働者を信じ難いような高レベルの放射線に被爆させ急性の放射線障害で死に追いやったり、後遺症で苦しめたり、、

 事故があっても迅速に知らせず、情報を共有させもせず
 迅速に避難もさせず( 避難も遅れまくって事故から3〜4年後の旧ソ連から独立して )民主化された後に移住になった地域もあったそうでして事故を完全隠蔽しようとした、、( スウェーデン政府が放射性物質を検出して発覚 )

 農産物や牛乳等の調査もせず出荷制限もせず、汚染がひどい地域で、何も知らずに、その土地で取れるものを食べて普段どおり何年間も生活した多くの小さな子供たちの免疫力を遺伝子レベルでじわじわ低下させ、数年〜10年という潜伏期間を経て後にがんやその他の慢性疾患を続出させた・・etc

 と聞いてますので。



 



 また



国や東京電力の公式発表を図表にした以下のデータやこの記事でも書きましたように

http://atmc.jp/


日本全国に張り巡らしたモニタリングポストの各地の数値は



概ね横ばいか下がっている、、というのは




 

 2回の爆発やその他諸々のトラブルで放射能漏れが生じて

 避難地域に指定された圏内や

 避難地域の圏外でホットスポットになってしまった地域等の
自分や自分の子供たちが生活していたらと考えるとたまらなくなる地域ではない
( 又は、ホットスポットの影響を受けにくい地域 )

  あるいは

 福島原発の避難地域のエリアから距離的に非常に離れている方にとっては

 警戒が必要だけれども冷静になれる要素のひとつではないかと思っています。

 
 


 
PS

頭をクールダウンするという点では

 以下のネイチャー誌( 日本語訳 )もお奨めです。
 ( 日本語訳してくださっているので楽に読めますし、ネイチャー誌は、専門家ではない方でもわかるような説明をしてくれる世界でも指折りの雑誌としても定評がありますので )

英語圏の総合科学誌「ネイチャー」の福島原発事故Q&Aの日本語訳(Part 1)

http://bit.ly/fTSmzk





英語圏の総合科学誌「ネイチャー」の福島原発事故Q&Aの日本語訳(Part 2)
http://bit.ly/hxHWZJ

英語圏の総合科学誌「ネイチャー」の福島原発事故Q&Aの日本語訳(Part 3)
http://bit.ly/fu8GTB

 
 ついでに

以下の

 「 チェルノブイリ事故の後始末は80年計画 ネイチャー誌 日本語訳 」

http://logo-syllabary.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/nature80-3a0a.html

の記事の「 日本にとっての教訓 」も大事な助言だと思いました。


追記で

フランスのIRSNによる以下の報告書( フランス語ですが )
 6Pのところで福島原発の年間の放射線の蓄積量を推定した図と 

 http://www.irsn.fr/FR/Actualites_presse/Actualites/Documents/IRSN_Residents-Japon_Bulletin2_08042011.pdf


 福島大学の放射線計測チームの福島県北部エリア放射線レベルマップ(平成23年4月9日掲載)

 http://www.sss.fukushima-u.ac.jp/FURAD/FURAD/data-map-datail.html
 

 更には

福島県が迅速かつ大々的に行った調査結果を
大学の先生が可視化した以下の図

http://plixi.com/p/91508746#
   ↑ ↑ ↑
( 出来れば屋外グラウンドだけでなく子供たちが学校や保育所にいる間の大部分の時間を過ごす室内や原発近くの公的な避難所の屋内等も測定して、放射線レベルが本当に経験値のように実際に屋外の1/10〜1/4になっているのか?というのも、古い校舎の場合は遮蔽効果が低いと思われるので念のため確認して欲しかったですが

 福島県も、県内小中学校等の放射線量測定もやったり、想定外の事態に本当によくやっていると個人的には思っています。



 何らかのトラブルがあったのだと思いますが、福島第一原発の事故の報道がされた直後、すぐに福島県の原子力センターの環境放射線モニタリングを確認しようとしても確認できず、更新が止まったままになっていたのには、本当にジリジリさせられましたし一時、疑心暗鬼に囚われましたけど・・ )

これら( 3つの図表 )は、( 細かいところはともかく )かなり似たマップになっていて信頼性が高いし、
 これらのデータが疫学的にどういう意味を持っているのか?低レベル放射線に常に暴露され続けることや内部被曝が合わさることで免疫機能が低下すること等については学説が分かれていて不明の点が多いようですが、

 これらの情報を公正に意味づけして、地元の人たちと共有することで

 いろんな不安が生まれたりチェルノブイリの事故を教訓として、議論も生まれるとは思いますが、今後どうすべきか?というリスクを減らすための新しい対策に生かせるのではないかと思いました。



( この記事の最後に )

日本人のため
( 特に福島の方々のために執筆したつもりだったのですが )
この記事を2011年4月に執筆してアップして以降、海外の方から、たくさんのコメント( 100件以上 )をいただき驚いています。
こんなにも多くの海外の方が日本のことを気にかけ、心配してくださっていることに励まされました。

デリケートな記事のため、英語に堪能ではない私が下手に英語でコメントをお返しすると誤解を招く恐れがあると思い、個別にコメントをお返ししていないことを申し訳なく思います。


I'm surprised that I received more than 100 comments on my article.
Thank you so worried about that in Japan(fukushima).
I was encouraged by your comments.
Thank you again for your kindness.

                    best regards