フロイトの夢判断と無意識



無意識の発見は、20世紀最大の発見の一つと言われています。



フロイトは、( 後述しますように )心の奥深いところにあるコンプレックスを探るのに、リラックスさせ( 患者さんの )意識を集中させて、心のわだかまりに関連することを自由に・・感じるままに( 分析者に )語ってもらうことで過去の傷を癒す方法( 自由連想法 )を

( 紆余曲折を経て )考案したことで有名ですね。
この方は、「 自我境界線 」( 自分と他人の境目 )の概念を創めて提唱した人でもあります。

人は誰でも自分が自分であるという意識を持っており、それが他人と自分を分かつ堤防になっていて
それを「 自我境界線 」と言います。

 これは、あまり自覚したくない不愉快な過去の抑圧された記憶( 刺激 )が顕在意識に浮上するのを守る
「 精神的な防波堤 」なのですが、年をとるにつれ、この境界線が厚くなって「 自我 」を傷つけるような刺激から自分を守ろうとするのです。

ちなみに、子供の頃は、( 一般的に )この自我境界線は薄くて浸透力が高いとされていて、それゆえに子供は適応力が抜群でアイディアを素直に吸収できるとされているんですね。 


あっと

脱線しました。


フロイトという方が、「 心 」をどう観ていたかと言いますと

「人の心は単一ではなく、機能ごとにの【 3つの部分 】に分かれる」と洞察しており

その「 3つの部分 」が「 イド 」「 自我 」「 超自我 」であり






また意識の階層も「 意識 」「 前意識 」「 無意識 」の三層に分類されると観ていました。


「 意識 」というのは通常自覚できるレベルの意識を言います。

 言い換えれば、「 自分を自分として自覚できるレベル 」ですが、フロイトによれば、それは「 自分 」のすべてではなく
その他に「 前意識 」「 無意識 」という層域があるというのです。

 ちなみに下の図のとおり



「 イド 」というのは、生のエネルギーのリビドー( しばしば「 性衝動 」と同一視されます )の源泉であり

生きたい!という強い衝動であり、社会性や道徳性を配慮する機能はまったく欠けているとされ、「 赤ちゃん 」にも喩えられています。


 「自我」というのはイドからのエネルギー供給を受けて稼動する、いわば私たちが「 わたしの心 」と一般に言っているところであり
「 意識 」を通じて自分の外へも開かれているため、現実的に判断したり他者に配慮する機能を持ちつつイドの衝動( 生きたい!という欲望 )に応えようとします。

 ただし、その判断過程は必ずしも意識的ではなく、かなりの部分が無意識・無自覚のうちに稼動しているようです。

 ちなみに

どこからどこまでが「 意識 」、ここからが「 前意識 」などというように3つがきれいに別れるわけではありません。

「 心 」を【 森 】に喩えるなら・・
心は、太陽の光の当たる文明化された街や明るい草原、耕地のある周囲の【 森 】に該当するような「 意識 」もあれば
原生林とかが密生するジャングルの奥地のような【 森 】のように光の当たらない暗く奥深い未知の領域のような「 無意識 」もあり境界線がはっきり決められているわけではないということです。


 「 前意識 」は、通常の意識では自覚されませんが、内省することである程度は自覚できるレベルの「 意識 」です。
 「 イド 」に由来する原始的な生のエネルギー( リビドー )が、この「前意識 」の意識レベルを通過して「 意識 」へと浮上していくとしています。
 「 無意識 」は、夢判断や自由連想法など心身を極度にリラックスさせた特殊な方法によってしか認識できない、もっとも奥深い層の意識レベルです。

  この領域ではリビドーが生々しい形で蠢いているとフロイトは説明しています。



 
また


「 夢 」というものをどう観ていたかと言いますと
「 人間は誰もが、潜在意識の欲求を理性でおさえこんでいる 」
という見地から

「 夢の中では、( 理性の検閲機能が働きを弱めるため )本来の欲求が形を変えて表現され、抑圧されている本来の願望を充たそうとして夢を見せる 」と考えていたようです。

 そして

フロイトは、ほとんどの夢を性に関する( 抑圧された )欲求だと観て分析していました。


もうちょっと解説するなら

フロイトは、夢を、その人の願望が、何かに形を変えた形で出てくると定義し
その、何かに形を変えることを「 置き換え 」と呼びました。
神経症も、病気を作り出す考えが作り出す感情のエネルギーが様々な症状に「 置き換え 」
られるからです。

それは、全部が無意識のうちに行われます。
フロイトの有名な「無意識」の考えは、夢を研究することによって発見されたのです。



日中の潜在された意識( 思考 )は、超自我の検閲力( 抑圧力 )が強くて

抑圧され

認知できる( 表面 )意識上に浮上するエネルギーを持っていません。

夢は、超自我の検閲力( 抑圧力 )が弱まったときに見せるもので

抑圧する力が休まることで

潜在意識領域に存在する奥深くにある願望( フロイトは、この潜在願望を性的なものであると観ていた )に由来する
考えや感情のエネルギーがオープンになり意識の中に浮上して「 夢 」に変換されるという考え方です。

超自我というのは、じゃじゃ馬の「 自我 」の振る舞いを正す働きを持つ、いわば「 こころのなかの道徳の教師 」のような存在です。
もっと簡単に言えば正邪曲直の「 良心の心 」です。自分に対する理想や禁止のことです

このとき、潜在意識領域にある潜在された願望そのものをそのまま自覚できる表面意識領域に持ってくると、自我に大きな不安を与えるので、それを和らげるために

道徳の先生であり、良心の心である超自我によって検閲されるのを避けるために、裏にある潜在的なものを変換、圧縮、形象化、加工して
暗号的なものにされ、無事に検閲を通過したものが夢のストーリーとして顕在化されるといった説です。


まず、夢は解読するにあたって表面的なストーリーを「顕在内容」と呼びました。
これは、裏にある潜在的なものを「加工」して暗号的なものに変えられ「顕在内容」にすると考えました。
さらに、起きてから思い出す夢と実際見た夢は異なることがあります。これが「二次加工」です。



フロイトは夢が理解しにくく日常から、かなりかけ離れており意味不明で解釈が必要な理由を「 ( 顕在願望の)自我の平安を保ちたいということと
( 潜在願望の )無意識の本能的性的願望の想念エネルギーの充足を満たしたいということ

この相矛盾した二つの願望の均衡を図るために

超自我では検閲( 抑圧 )をして( 顕在願望に浮上させないようにして )自我の不安を緩和させるように働き
一方の潜在された本能的性的願望の想念エネルギーの充足を満たすために潜在願望を歪曲( 太古的修飾 )して「 夢 」にして超自我の検閲を潜り抜けさせるから 」というふうに考えていたようです。

また、実は歪められた潜在願望と幼少期の潜在意識に抑圧されている子どもの頃の心の傷( トラウマ )は深部においてつながっているため潜在意識の中に抑圧された欲望を自分自身のものとして、きちんと自覚し把握すればエネルギーが開放されて、勢力を失って、心的外傷( トラウマ )といった神経症も緩やかに癒されるという信念を持って治療に当たっていたようです。

今でも深層心理学の分野ではノイローゼやヒステリーなどの「 心理的な病 」は、幼児期や出生時に受けた心の傷(トラウマ)が原因になって起こるという考え方が一般的です。

実際、ノイローゼやヒステリーの患者などを治療するとき、潜在意識の奥底に沈んでいた幼い頃に心に受けた一群のトラウマ体験記憶を( 顕在意識に浮上させて )自覚的に思い出すと、その患者の症状が和らぎ快方に向かい治療に役立ってきたからです。

フロイトは意識下の精神活動を意識化( 自覚化 )することが心的外傷( トラウマ )を癒すのに大事なのだということを主張していたように思います。

フロイトは当初、心的外傷( トラウマ )を癒すのに、無意識のなかの観念を意識化することが治療に効果があるとして、催眠法を取り入れていましたが
催眠の効果には個人差が大きく、またいったん症状が消失しても、後に再びもとの状態に戻ってしまう( リバウンド )ことがあるのを経験したので
リラックスさせたなかで思いつくままに自由に心の奥深くにあるコンプレックスをありのままに「 自由に関連付けて 」語ってもらう「 自由連想法 」からなる
「 精神分析療法 」を創案しています。


もうちょっと詳しく書くなら


暗示的催眠を用いたフロイトが自由連想法に至るまで:19世紀の神経症と神経疾患の歴史

にもあるように

「 前額通利法 」を治療技法として採用して経験を積むことで自由連想法に至ったのです。

ちなみに前額通利法というのは
具体的には次のように前もって暗示をかけた上で誘導する方法です。


「 これからあなたの額を手で押さえますが、手を離す時に、何か、言葉や映像や記憶が浮かんでくるはずです。
そうした言葉やイメージについて、それがあなた自身にとっていかに無意味な、無関係なものに思われたとしても
必ずすべて報告して下さい 」
と患者さんに話し

患者さんの意識から抑圧された過去の外傷的な体験の記憶を解放しようとしたのです。

 さて

 フロイトは後にこの「 前額通利法 」も捨て去り、「 自由連想法 」に切り替えるのですが
「 思い浮かんだことは何でも言葉にせねばならない 」とするという点では、この「 前額通利法 」は、まさに自由連想法の先駆と言うことになりますね。

このようにして想起された言葉や連想や過去の体験のもつ治療について、フロイトはおよそ次のような法則を見出しています。

1 最初に患者さんが思い浮かんで報告する連想や記憶は、神経疾患などの症状の直接的原因となった深いところにある過去の体験そのものではないことが多い
( ただし、直接的原因となった過去の体験と関連している )


2 直接的な原因になった過去の体験が想起された時はじめて、身体の症状が消失する。

 2をもうちょっと詳しく書くなら

 直接的原因となった記憶が思い出されるだけではなく、その時ありありと体験していた感情・情緒( 感じ )が過去に戻ったかのように詳かく追体験され、その感じに、ふさわしい「 言葉を与える 」ことができたときに身体に変化が生じ癒されるということです。




 さて


フロイトは超自我の検閲を逃れて潜在願望を充足させために施された太古的修飾こそ「 夢 」のであると観ていますが

わたしは、「 夢 」というのは、潜在意識を顕在意識のほうから見つめる窓のひとつというような観方であり

夢というもののほとんどを性的欲望に帰結させるような「 性のはけ口 」というような捉え方はしていません。


なぜなら

 そのように「 夢 」を捉えた場合
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』夢


にあるように重要な発見や発明、芸術作品などが「 夢 」で得たイメージを元としている事例は多く、性的欲望に帰結させるのはやや無理があるからです。


 ただし、性的欲望ということばかりがクローズアップされていて誤解されがちなのですが
http://blog.mag2.com/m/log/0000201270/107515432.html


 にもあるように

フロイトは学問的文献において夢の源泉とされているものを4つに分類していたようです。


(1)光、騒音、匂いといった「 外的(客観的)感覚興奮 」
(2)まぶたを閉じた時の網膜刺激 「 内的(主観的)感覚興奮 」
(3)内臓の感覚といった「 内的(器質的)身体刺激 」
(4)覚醒時の興味・関心事といった「 純粋に心的な刺激源 」

このうちの


(4) 「 純粋に心的な刺激源 」の大部分が性欲に由来するものが大きい要素を占めているというふうにフロイトは観ていたのでしょう。

記事を書いてみてふと思ったのは
フロイトが患者さんの意識から抑圧された過去の外傷的な体験の記憶を解放しようと して考案した自由連想法は、私がサイトに書いている心の奥座敷をお掃除することに 緩やかに貢献する
( 仙道の )俯瞰法やら私のオリジナルの筆記俯瞰法とちょっぴり似ているんです ね。( 笑 )


  フロイトの仮説は
「 直接的な原因になった過去のトラウマ的な体験が想起され、その時ありありと体 験していた感情・情緒( 感じ )が過去に戻ったかのように詳かく追体験され、そ の感じに、ふさわしい「 言葉を与える 」ことができたときに身体に変化が生じ癒 される 」というものですが
この説からすると、やや我田引水的ですが
 仙道の奥義のひとつとされている俯瞰法や、わたしのオリジナルの筆記俯瞰法 も、読者の方から、心が軽くなった!というご報告はいただいていましたが、かなり心の奥座敷のマイナス因子のお掃除に役立つかもしれない・・と嬉しくなりました。

 
理論的な裏づけが得られたような氣持ちになりました。
ちなみに筆記俯瞰法というのは
 過去のトラウマ体験を思いつくまま感じるまま( 肩の力を抜いて )理性の編集 を挟まないで紙に書き出すことで描写し「 言葉を与え自覚する 」ことで心に鬱屈したマイナスのエネルギーにして解き放つ方法です。


 お時間のあるときにでもご覧くださいね。
 俯瞰法とか筆写俯瞰法とかは、やってみてもいいかと思います。
 
俯瞰法および筆記俯瞰法 ( 左記サイト・ページの【 最後段 】に簡単に書いています)

( 参考ページ )

夢を叶える宝地図のこと・・ちょっとした秘訣
 ↑ ↑ ↑
 この宝地図・・うまくいく方とうまくいかない方・・思いっきりワカレルようでして
 ・・私も原因がよくわかりません。

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願望実現のパターン 潜在意識が活性化すると 無意識の活用と自己実現

  
 何れにしろ・・どんな能力開発やら自己啓発の学習をするにしろ・・
  心のお手入れといいますか  
   潜在意識のクレンジングと自己統御のための意志の煥発が重要というのは・・非常に痛感します。  
   

宝地図の実現力を高める方法 自己実現( 願望実現 )・・自己啓発のためのテープ学習とかも参考になるかもしれません。

欲する事柄をグングン引き寄せる・・習慣化のための日常心得

 上記をベースにそれぞれ・・あなたのライフスタイルに応じてアレンジ為さってもいいかと思います。